知覚過敏について
知覚過敏症状は誰にでも起こりうる歯のトラブルです。
歯ぐきが下がる、歯のエナメル質が摩耗するなど、一般的な歯のトラブルが原因として徐々に悪化していく歯の状態です。
20歳から50歳までの人が最も多く知覚過敏症状を患っています。
知覚過敏症状は、歯の内側にあるやわらかい「象牙質」が露出してしまうことで発生します。
象牙質は歯のエナメル質の内側にある組織です。
象牙質には数千本の象牙細管が歯の中心に向かって伸びています。
象牙質がむき出しになると、外部からの刺激(冷たい飲みものなど)が象牙細管を通って歯の内側の神経に伝わり、結果として瞬間的に鋭い痛みをを感じるようになります。
これが知覚過敏症状の痛みの特徴です。
☆歯がシミる原因とは?
知覚過敏の診断には、歯科医師の診察が必要です。
知覚過敏を発症してしまっても、お口のケアと食生活を少し変えるだけで、象牙質の露出を最小限に抑え、シミる痛みを予防できるかもしれません。
知覚過敏症状の主な原因は?
・エナメル質の摩耗 歯ぎしりや頻繁に歯を磨きすぎるなど
・歯ぐきの後退 歯周病または歯を力強く磨きすぎるなど
他の知覚過敏のような症状の原因
知覚過敏に似た症状は、次のような刺激物が原因で発生することがあります。
ムシ歯を含む、その他の歯の痛みが原因
*ムシ歯
ムシ歯の痛みは知覚過敏症状の痛みに似ています。
ムシ歯は、食べものや飲みものに含まれる糖質と、歯垢内部の細菌が、酸を作ることで発生します。
ここでつくられた酸は次第に歯のエナメル質と象牙質をやわらかくして溶かし出します。
フッ素配合のハミガキで毎日ハミガキすることで、強い歯をつくることができます。
ムシ歯の怖いところは、症状がかなり進行するまで痛みを伴わないところです。
ムシ歯は早い段階なら治療することができます。
痛みがなくても、ムシ歯を早い段階で診断して治療することができますので、歯科医院で定期的に検査を受けてください。
*歯のホワイトニング
多くの人が、歯科医師によるホワイトニング治療中、治療後にシミる痛みを感じています。
ここで言うホワイトニングは、歯科医師や歯科衛生士による薬剤を使用したホワイトニング治療を指します。
歯科医師によるホワイトニング治療中または治療後に感じるシミる痛みは、知覚過敏症状とは異なります。
ホワイトニング治療で使用された薬剤が、エナメル質と象牙質に浸透して歯の中心部の歯髄に到達し、これが原因で炎症が発生して一時的な知覚過敏症状を誘発します。
*治療後
歯の治療後に一時的な痛みを感じることはよくあることです。
痛みが継続する場合は、歯科医師にご相談ください。
歯の痛みのその他の原因には、歯ぐきのはれや歯にヒビ・割れが生じることなどが挙げられます。
☆エナメル質の摩耗とは何ですか?☆
エナメル質は歯の外側、表面を覆う硬い組織です。体の中で一番硬い組織ですが、時間の経過と共に摩耗することで内側の象牙質が露出してしまうことがあり、これが知覚過敏症状の原因になることがあります。
エナメル質の摩耗は次のような原因で発生することがあります。
*歯ぎしり
夜または日中に歯ぎしりすることがありますか?
歯ぎしりはエナメル質を摩耗し、やがて内側の象牙質を露出してしまいます。
*歯磨き
歯を頻繁に磨きすぎたり強く磨きすぎるとエナメル質を摩耗してしまい、やがて歯ぐきが下がる場合があります。
*酸蝕歯 (さんしょくし)
食べものや飲みものに含まれる酸によって、歯のエナメル質は徐々に摩耗していきます。
これを酸蝕歯(さんしょくし)と呼びます。
果物、フルーツジュース、炭酸飲料、コーヒーや紅茶、ワイン、ケチャップやドレッシングなど、酸味を含むものはすべて歯のエナメル質の摩耗の原因となりえます。
1日のうち酸を含む食べものや飲みものを口にする「機会」が4回あるだけで、歯のエナメル質が摩耗するリスクが高まります。
☆知覚過敏の治療法
■知覚過敏用の薬を塗布
歯の神経(歯髄神経)を保護しており、痛みを感じる部分・象牙質が露出すると痛みを感じる。
そのため、露出した象牙質の表面に薬を塗布する手法。歯と似た成分の薬を塗ると、痛みを感じる歯髄神経への刺激を遮断してくれるため、痛みが止まる。
■コーティング剤で保護
象牙質の表面に樹脂をコーティングして神経への刺激を遮断する。
ただ、毎日の歯磨きなどでコーティング部分がはがれ落ちることも。
恒久的に保護するものではないので、定期的にコーティングし直し、徐々にその間隔を延ばしていくことが目的となります。
■患部へのレーザー照射
象牙質内の象牙細管と呼ばれる、歯髄神経につながる管に開いている穴の部分にレーザーを照射し、その穴をふさぐ治療法です。
これにより患部を保護して、その後にコーティング剤を使用する治療法もあります。
■マウスピースを装用する
主に歯ぎしりや食いしばりが原因の知覚過敏患者に用います。
これらの歯同士に圧力がかかるクセは象牙質を保護するエナメル質をけずってしまうため、その保護のために予防的にマウスピースを使用します。
■歯周病治療をする
歯周病が進行して歯茎が後退すると、象牙質が露出してしまって知覚過敏が起きやすくなるため、その悪化を防ぐための治療を施します。
■歯の神経を抜く
知覚過敏の症状が強すぎる場合、神経ごと取り除く方法もあります。
歯の神経が無くなっても、歯の組織は残ります。
ただ、歯の中にある血管神経を取ってしまうため、歯に栄養分が行き届かなくなり、結果として歯が弱く、もろくなってしまいます。
☆知覚過敏の予防方法・対処方法
*セルフケア(自分自身で行う予防)
歯をみがくときには、以下の4つに気をつけましょう。
1.力を入れすぎないようにしましょう
2.歯ブラシを大きく動かさないようにしましょう
3.歯肉退縮が起きている場合、歯の根元付近のプラークをていねいに取り除きましょう
4.知覚過敏予防歯みがき剤を使いましょう
知覚過過敏予防歯みがき剤に入っている薬用成分が、露出した象牙細管の入口をふさぎ知覚過敏を予防したり、症状を和らげます。
知覚過敏予防歯みがき剤配合の主な薬用成分
乳酸アルミニウム
硝酸カリウム
*プロケア(歯科医院で行う予防・処置)
症状が続くようであれば、早めに歯科医院に相談し、適切な処置と指導を受けましょう。
もちろん当院でもおこなっておりますので、お気軽に御相談下さい。